【講師インタビュー】自分の好きを研究に! 勉強とプログラミングをハイレベルで両立する小西遥登先生(N Code Labo梅田教室所属)

今回のインタビューは、梅田教室の良心こと小西遥登(こにしはると)先生です。子供の頃から自作の実験器具を作ったり、海外でのイベントに招待されたりと、興味深い経験の宝庫でした! 今回も刺激になる話がたくさん聞けたと思います。ぜひ最後までお楽しみください!

基本情報

大阪大学4回生
研究分野:VR/身体拡張
使用言語:C#、Python、C、C++など
趣味、興味:VRゲーム、ゲーム制作、モノづくり(動画や3Dモデリング、電子工作など)

近未来のデバイスを研究中。研究のかたわらアプリやゲームも自主制作

ーーよろしく願いします

よろしくお願いいたします。

ーー小西さんは大学ではどのようなことをされていますか?

VRや人間拡張に関する研究を行っています。人間拡張というのは人間の能力を技術で拡張しようという研究分野です。例えば、VRの応用例の1つである遠隔手術では、離れた場所の患者に対して手術を行います。これは人間の見える範囲や手の届く範囲を拡張する技術だと言えますよね。私は人間の動きをセンサーで計測して、直感的に操作ができるVRコントローラーについて研究したりしています。

ーー面白そうな研究ですね

そうですね。そういった研究分野ですので、研究室には沢山のセンサー機器があります。研究室に入った直後には、そのセンサーを使ってゲームを作るという研究室内でのコンテストもありました。

ーー小西さんはどんなゲームを作ったんですか?

指先からレーザーを出して、隕石を撃ち落とすVRゲームを作りました。コントローラーを持たずにプレイするゲームを作りたかったので、自分の手で拳銃のような形を作るとレーザーが出るようにしました。

ーー指からレーザーですか。ゲームをやる人の夢じゃないですか

そうですね笑。その代わりボタンを押して発射とかができないんです。それでジェスチャーでプレイするようにしたのですが、結果的に楽しくなりました。 


ーー印みたいにいろんな手の形で必殺技を出せるようになったら楽しそうですね 

忍術っぽいアクションと相性が良さそうですね。現行のVRデバイスだと、両手を組み合わせるようなジェスチャーは認識しづらいので、デバイスの進化にも期待したいところです。 

ーーそれが実現したらゲーム業界だけでなく、普段の生活も大きく変わりそうですね

そうですね。ゲーム以外のARデバイスなどにも応用できる技術なので、普及するのを楽しみにしています。 

ーー小西先生はプライベートでもアプリやゲームの制作をされているんですね

ゲームは大学のコンテストに出すために作ったので完全にプライベートではないですが、他にもゲーム内で攻撃を受けた時に服に付けたバイブレータが振動するデバイスや、大学の授業コマを読み込んで自動でフォルダを作ってくれるアプリも作りました。アプリの方はうちの学生なら誰でも使えるように無料でネットに公開したりもしました。最初は手動で授業ごとのフォルダを作っていたんですが、かなり大変だったので自動化したいと考えたんです。楽をしたいというのはプログラムを書くための大きなモチベーションだと思います。


好奇心旺盛な子供時代。スーパー・サイエンス・ハイスクールでの活動も

ーー子供の頃からものづくりには熱心だったんですか?

昔から興味はありましたね。理科系のことも好きだったので、中学校1年生くらいの時に実験器具を自分で作ったりしてました。理科で光の単元を習ったときに、家にあった虫眼鏡のレンズと、スクリーンの代わりのクリアファイルを厚紙の直方体のケースに埋め込んで、像が写る様子やレンズの焦点距離を確かめて遊んだりしていました。他にも使わなくなったCDで分光器を作って観察したりしていました。

ーーご両親はどういう反応だったんですか?

好きにさせてもらっていましたね。進学先も、行きたいところにしてよいと言われていたので、スーパー・サイエンス・ハイスクールに指定されている高校に行かせてもらいました。僕の学校では科学系の任意参加のイベントがたくさんあって、1泊2日で四国に行って地層の観察や天文台訪問をする研修旅行や、電気泳動での遺伝子検査、鶏の有精卵の解剖実習などがあり、それらを無料や格安で体験できました。

ーーシンガポールでのイベントにも参加されたんですね

在学中にシンガポールの高校から私の高校に、国際サイエンスイベントの招待状が学校に届きまして。その代表メンバーに選んでいただき、参加しました。1週間シンガポールに宿泊して、他の国からきた人達とディスカッションしたり、ポスター発表をしたり、グループでシンガポール観光する時間もありました。

ーー貴重な経験を沢山されてきた小西さんですが、プログラミングとの出会いはどんな感じだったんですか?

小学生の時からPowerPointでクイズを作ったり、中学の学校行事の企画で動画編集をしたり、パソコンを使う機会が多かったんです。あとは、ゲームやロボットがプログラムによって動いていると知って、漠然とした憧れを持ってもいました。 それで高校生の時にJavaの入門書を買って、一から読み始めました。しかしその時はほとんど何も作れないまま挫折しました。ちゃんと身につき始めたのは大学の授業の課題で指示されたものを作ったり、自分でゲームを作るようになってからですね。大学の授業でC言語を学び、その後は自主的にPythonやC#、JavaScriptなどを学びました。 

ーー小西さんでも挫折したんですね。挫折しないためには何が必要だと思いますか?

目標を持って学ぶのが大事だと思います。プログラミングって何かを作ったり便利にするための手段なので、プログラミングを学ぶこと自体を目標にすると、何をやったらいいか分からなくなってしまうと思います。僕が最初にやった時は、プログラミングってなんか良さそうだな、みたいなスタートでした。パソコンを色々触っているし、プログラミングもやってみたいなという感じで。でも具体的に作りたいもののイメージがなかったので、入門書を頭からお勉強みたいに読んでいました。コード自体は書けて、コンソール上でプログラムは動いたんですが、それをアプリの形にする方法がわからなかったんです。周りに聞ける人もいなかったですし調べ方も分からなかったので、当時は諦めてしまったんです。 だから何を作りたいのかという目標と、困った時に質問できる相手が必要だと思います。

ーーなるほど。目標を持つことは何事においても重要ですね

はい。僕の場合プログラミング学習で詰まったときは、一旦離れて別のことをやってみたり、同じ内容に一から取り組んだりしていました。 プログラミング学習は勉強だけでなく制作としての側面もあります。一度離れてみると新しいアイデアや解決策が浮かんだり、頭が整理されたりするんです。 学校の勉強でも、ドリルや問題集で繰り返し似た問題をやることで内容が身につくことがありますよね。プログラミングも同じで、一度やった内容を一からやり直してみると前回より理解が深まり、より先に進めることが多いと思います。 

いろんな趣味を広く楽しむ

ーー勉強や研究以外の時はどんなことをされていますか?

元々ゲームが好きなのとVR技術が好きなので、ゲームや、いわゆるメタバースで遊ぶことが多いです。

ーー今の研究ともリンクしているんですね。昔からゲームは好きだったんですか?

はい。小学生の頃はゲームは週に1回だけというルールがあったんですが、その時間の中でテレビゲームをしていました。高校生の頃はスマホゲームをよくしていましたね。大学生になってからは、ゲーミングPCとVRデバイスを買ったので、VRゲームや、対戦型のPCゲームをやっていました。でも最近はゲームをするのと自分で作るのが半々くらいになっていますね。VRゲームやメタバースの中には、自分でアバターやギミックを作って使用できるものもあるので、そういったものを自作したりもしています。

ーーゲーム以外の趣味についても教えてください

子供の頃はゲーム時間のルールもあったので、普通に外で遊んでいました。放課後学校に残って、友達と鬼ごっこをしたりですね。今だと創作活動に憧れがあるので、3Dモデリングをしたりイラストを描いたり動画編集をしたりなど、色んな事を広く浅く楽しんでいます。 

ーー趣味と勉強は、どうやって折り合いをつけていますか? 

今年受験した大学院入試では、勉強の息抜きにゲームを作って遊んでいました。作りたいものが頭の中にたくさんあるので、作りたい気持ちを抑えて、勉強に差し支えないようにしました。 

ーーサークルや部には入っていますか? 

今はどこにも入っていませんが、以前はデザインを学ぶサークルや、動画制作サークルに所属していました。

ーー子供の頃は習い事はしていましたか?

小学校の頃に英会話と、本を読んで国語力を鍛える習い事をしていました。中2〜3年生の時は学習塾に通っていました。

ーー勉強は得意だったんですか?

勉強は得意な方だったと思います。一番得意なのは理科でしたが、数学も英語もそれなりに得意でした。逆に地理歴史はかなり苦手でした。 

ーー進学先はどうやって決めましたか? 

元々、心理学や神経科学、情報科学などに興味があり、進路を絞り切れていませんでした。そのため大学2年生への進学時のコース選びで、神経科学と情報科学のどちらにも進めるところに進学を決めました。 

N Code Laboの講師として〜道筋を示せる存在でありたい

ーー小西さんが思うプログラミングの良さはどんなところですか?

自分の想像したものを形にできるところです。僕は芸術の才能がそんなにはないので、絵とか小説とかだと思ったように作れなかったりするんですが、プログラミングならこういう機能が欲しい、こんなことができたらいいなっていうのを1つずつ考えて、一個ずつコードで書けば実現できるので、そこが楽しい部分ですね。頭の中にあるものをアウトプットするための手段として、僕にはプログラミングが一番向いているんだと思います。

ーープログラミングを学んでいく中でメンターや師匠と言える方はいますか? 

特にいません。図書館の本やWebサイトを見て学習しました。そのおかげで、自分で問題を解決する能力が身についたと思います。しかし教えてくれる人がいれば、もっと成長が早かっただろうなと思うこともあります。 

ーー小西さんは梅田教室の初期メンバーですが、生徒に教えていく中で特に重要視していることを教えてください 

分からないことにぶつかったときやバグが発生したときに、自分で調べたりして、自力で原因を特定できるようになることを重要視しています。テキスト通りに学習していると、バグが発生してもテキストと自分のプログラムを見比べて、間違い探しの要領で原因を見つけることができてしまいます。 ですが自分で考えたものをプログラミングするときはテキストという正解がないので、見比べて解決することはできません。そんな時には、例えばインターネットで似た問題が解決した事例を探したりする必要があります。さらに直面したバグの情報がインターネットになければ、自分で書いたコードのどこまでが正常に動いていて、どこからが動いていないのかを自分で分析する必要があります。 こうした問題にも自力で対応できるようになるために、テキストの内容で発生したバグでもインターネットで調べたり、書いたコードを分析したりする機会を作るようにしています。 

ーーそれは生徒が成長しそうですね

ありがとうございます。あとは繰り返すことも大事かなと思っています。みんな小学校の時に九九を何百回もやりましたよね。そんなにやって意味があるのかって思いますが、やっぱり意味はあるじゃないですか。身に染み付いていると言いますか。プログラミングの場合もテキストを見ながら一回やったら、それでできた気になってしまうんですけど、テキストを見ないで同じことをもう一度やってみてって言ったら、できる人はほとんどいないと思うんです。テキストのどこかで詰まっちゃった時には無理に先に進めるよりも、一度やったところをもう一度やり直すと、次はもう少し先まで進めることが多いと思います。

ーーN Code Laboの講師として、やりがいを教えてください

生徒の成長を感じた時ですね。今までわからなかった箇所のコードを自力で書けた時は特に嬉しいですね。

ーー生徒たちにとってどういう存在でありたいですか?

生徒さんの目標に対して、道筋を示せるような存在でありたいです。僕がプログラミングを始めた時には、コードは書けてもアプリにするまでの道筋が見えていない状態だったんです。それが最初に挫折した要因だったんですが、周りにその先の道筋を知っている人が一人でもいたら、絶対僕にとってプラスになったと思います。プログラミングを勉強してそれを活用している先輩として、ゴールとまでは言えないですが、一つの道筋を示せるような存在ではありたいですね。

ーー素晴らしい目標ですね。今日はお時間いただきありがとうございました

ありがとうございました。

インタビュー日 2023/11/11



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