【講師インタビュー】きっかけはお父さんの会社を助けたかったから!? 学生の枠を超えたスーパー大学生!! 河本聖己先生(N Code Labo 梅田所属)
中学生の頃にお父さんの会社の業務システムを構築し、現在では和歌山大学の学生でありながら、数々の研究機関で活動されている河本聖己(かわもとまさき)先生です!
二十歳とは思えない活躍をしている河本さんですが、エンジニアリングを始めたのはひょんなことからでした。お子様の参考になる点も多いと思いますので、ぜひ最後まで楽しんでください!
河本さんの活躍
- MITILAB EdTechプロジェクト
- 大阪大学SEEDSプログラム
- 文部科学省海外留学プロジェクトチームなど多数
大学1年生から別の学部で研究!? 異例の経歴について
ーー河本さんは現在、様々な研究機関や国の機関でご活動されていますね
そうですね。色々なことに興味があって、そのとき気になったことをやっていくっていうか。今一番メインでやっているのは、教育関係のことです。2020年から小学校でもプログラミングが必修化されましたが、学校の先生が教えにくかったり、従来の授業の中に組み込んでいくのが難しかったりで課題も多いんです。それを改善するために、算数とか他の教科の中でどうやったらプログラミングに必要な思考力が養えるのかについて研究をしています。
あとは、その一つの学校の中だけで使えるSNSを作ったりとか。
ーーSNSも自分で作るんですか?
はい。SNSは情報漏洩の危険があったり、いじめの原因になったりもしますよね。そういう問題点を解消するために、学校の関係者だけが使えるクローズなSNSを作って実証実験もしています。私が通う大学の附属学校が協力をしてくれまして。
ーー学校内だけで使えるSNSですか。本当にFacebookみたいですね。SNSの原点と言いますか
確かに。
ーー河本さんはその他にも、文科省のプロジェクトチームでインターンをされていますがどういった経緯だったんですか?
高校1年の時に「トビタテ!留学JAPAN~日本代表プログラム~」に採用されて、シリコンバレーに行ったのがきっかけです。
そのつながりで、トビタテ!留学JAPANを運営する文科省の事務局で派遣奨学生向けのイベントをしたり、トビタテ生同士のコミュニティを企画・運営したりしています。
ーー将来有望な若者同士が繋がるのはいいことですね
そうですね。このコミュニティには、色んな分野の一線で活躍する同世代がたくさんいるので、とても刺激的です。僕自身も、そんな彼らを見ていると「もっと頑張らないと」と思い、良いモチベーションにもなっています。
ーーその他にも色々なところで活動していますよね
最近では、年金積立金を運用する機関で、業務の経験をさせて頂きました。まったく、これまで関わってこなかった金融分野ではありますが、たくさんのことを勉強させて頂きました。
国の機関ではあるのですが、中で働いている方々は外資系の元金融マンやコンサルタントなど多様なバックグランドを持った人ばかりで、すごいところにきちゃったなって感じです。そこではデータサイエンスに基づいた投資をやっているんですが、そういうのも面白そうだなと思っています。
プログラミングとの出会い
ーー河本さんがエンジニアリングに興味を持ち始めたのはどういう経緯だったんですか?
父親がもともと、出版関連の事業をしておりまして、幼少期から、パソコンを使って仕事をしているのを間近で見ていました。私が生まれたのが2003年で、当時はまだ、全ての家にパソコンやインターネットがあるという訳ではない時代だったのですが、私の場合はパソコンやインターネットは、結構身近なツールだったんです。当時は、一般向けのサービスの選択肢が少なくて、結構色んなシステムにコストがかかっていて、「こういう会社のシステムも外注じゃなくできたら、だいぶ経費削減できるのにな」ということを父が言っていて。じゃあ自分が作ろうって思ったのがきっかけです。
最初は本当に手探りで、いろいろ調べてこんな感じかなあっていう感じでやってました。
ーー近くにコンピュータのことを聞ける人はいたんですか?
いませんでした。最初は全部独学だったので、間違った設定をしてしまって、何回か家のネット回線をダウンさせてしまったこともあります。変な回線を組んじゃって。本当はちゃんと検証してからシステムを動かした方がいいんですけど、とりあえずやっちゃえみたいな感じでやってました笑
当時はわからないことを調べるのに時間がかかってましたね。始めてから3年くらいは試行錯誤の連続でした。
そうこうしてるうちに段々いろんなことがわかるようになってきまして、2016年ごろには父の会社でリモートワークできるシステムも構築していたんです。だからコロナの時もあまり影響がなかったんです。
ーー時代を先取りしていたんですね。元々コンピュータは好きだったんですか?
小学校1年生の時に、お父さんがノートパソコンを買ってくれたんです。それをいじってました。
ーーということはお父さんは、自分でプレゼントしたパソコンに助けられたわけですね。
そうなりますね笑
ーー最初は苦労したということですが、それでも諦めずに続けられたのはなぜですか?
一番の原動力は興味ですね。大変は大変なんですけど、自分で興味を持って、楽しみながらやることが大事だと思います。
あとは自分のやっていることが役に立っているって感覚もすごくモチベーションになってましたね。
ーー河本さんは子供時代、主にSE関係のことをしてきたわけですが、そこからプログラミングを始めたのはどんな経緯ですか?
父の会社のシステム構築をやっていく中で、ネットでのセキュリティに関心を持ったところからです。それで調べていくうちに、高校生の時に量子暗号化技術に興味を持ちまして。そこから大阪大学のSEEDSプログラムの研究生になって、本格的に研究を始めました。当時は工学研究科のセキュリティで有名な研究室で耐量子暗号技術の研究をしていました。その実験をするときにどうしても自分でプログラムを書く必要があって、そこからプログラミングを勉強し始めた感じです。
ーーMagmaという珍しいプログラミング言語もやっておられますよね
そうですね。数学の問題を解くために開発された言語なんですけど、マイナーですよね。情報系の世界でよく使う数学があるんですけど、それに特化した言語です。有料で個人ではなかなか動かせるような言語じゃないので、大学のスパコンに接続して計算をしてました。結構重たい計算をさせるのがメインで、本当にめちゃめちゃ大きい行列の計算とかしたりとか、次元が結構増えてくるので、そういう時にMagmaも使ったりしました。
学生としての顔も
ーー河本先生は旅行が趣味ということですが、今まで行った中で思い出深いところはありますか?
シリコンバレーですね! 留学中、休みの日はバスや電車に乗って色んな場所を旅行しました。シリコンバレーにはGoogleとかAppleとかMetaとか世界を代表するテック企業の本社があって。これらの会社のビジターセンターを周るのはとても楽しかったです!
ーー学業とその他の活動はどうやってバランスをとっていますか?
学外での活動が多いので、それなりに両立することは難しいですね。ただ、スケジュール管理をしっかりしておくと、自分の今後の動きが一目で分かるので。Googleカレンダーをめちゃくちゃ活用しています。自分のGoogleカレンダーは、必要な関係各所に公開をしていて、自分の予定を相手に共有することで、急なミーティングなどに対応しやすくしているんですよ。
ーー大人顔負けのスケジュール管理ですね
ありがとうございます。
ーー大学生活は楽しいですか?
楽しいです! 情報工学を専攻しているんですが、中学生の頃から興味があった分野なので専門科目はどれも魅力的で面白いです。自分の家とかパソコンではできないような作業が、大学のネットワークでは出来たりするのでそこが特に面白いです。理論だけでなく、実際に手を動かして演習として取り組むのも楽しいですね。
ーー学校の勉強は得意でしたか?
学校の勉強はどちらかというと、得意ではなかったです笑。ただ、一定水準の成績を維持するために、それなりにコツコツと努力はしていました。僕の場合は、割と一気に集中して出来るタイプではなかったので、毎日のやることやタスクを書き出して、一つずつコツコツと計画的に進めていました。「書き出す」というのが結構重要で、書き出したタスクを減らして消していくと、減っていくのが楽しくなり、ゲーム感覚で取り組むことが出来ると思います。
ーー好きな教科と嫌いな教科は?
現在は理系の大学生ではありますが、中高時代は英語が一番得意な科目でした。逆に数学が苦手な科目でした。英語は文理問わず、自らの世界や可能性を広げるためにも、とても重要な科目だと考えています。得意科目から文理選択をするのではなく、自分が将来、大学で何を学びたいのか、将来どんな仕事をしたいのかといった、先のことを考えて今の進路を歩んでいます。
ーー好きな教科ばかりしてしまうタイプですか?
僕の場合は、どんな科目も満遍なくバランス良く学習するタイプでした。どうしても、好きな科目に偏ってしまいがちになると思うのですが、自分が目指すレベルとのギャップを正しく把握し、目標に向かって努力をする必要があると分かれば、必然的に苦手科目と向き合えるようになると思います。勉強をするときは、まず苦手科目から初めて、ご褒美として得意科目を学習すると良いかもしれないです!
後輩たちへのアドバイス〜失敗してもいい
ーー色々な経験をされている河本さんですが、N Code Labo で講師をしようと思った動機はなんですか?
元々プログラミングの教育手法とかに興味を持っていて、角川ドワンゴ学園はプログラミングの教育に強かったり、あとはネットの高校ということでテクノロジーを使った教育に長けてもいますし。自分自身が大学で勉強や研究をする上で、 N 高での経験ってすごく役に立つのかなと思いまして。
ーー講師としてのやりがいはなんですか?
それは、やはり、生徒さんが成長する姿を間近で見ることですね。特にネットコースでは、専属講師として指導をすることになっているので、生徒さんの成長を見守ることが出来ます。過去の学修記録を振り返りながら、段々とステップアップしていく姿を見ると、講師としてもやりがいを感じます。
ーー梅田教室は講師同士の仲がよく雰囲気もいいですね。
講師同士もよくプログラミングや、現在の技術トレンドについて話したりします。特に梅田キャンパスでは、生徒さんが理解しやすいような教え方や、授業の様子についてよく意見を交わしています。梅田教室の質の高い授業レベルは、こういった日々の会話などから生まれているのかもしれません。
ーーなるほど。講師として気をつけていることはありますか?
僕が授業する時は最初に、失敗はしてもいいよということを伝えています。勉強とかテストだったら失敗したら怒られたり、数字として現れてしまいますが、プログラミングってコンピュータの中だけで起きてる仮想の世界なので、失敗しても何回でもやり直しがきくんですよね。
みんな間違ったらどうしようとか怖いなとか考えてなかなか実行できないと思うんですが、とりあえず間違ってもいいから、プログラムを書いてみて実行してほしいですね。それで間違ってエラーが出たら、それを見て何回も書き直すっていう作業をしようねっていうのをいつも伝えています。
プログラミングをやるにあたっては、怖がらずにっていうのが大事だと思います。
ーーN高は回線が強いから、河本家みたいに落ちたりしませんしね
そうですね。失敗しても全然いいんだから。自分でとりあえず調べて、これかなみたいな推測でもいいので。いろんなところから調べて、それをつなぎ合わせて、自分で 何か1 個でもプログラムを書き上げるっていうのはすごく大事だなと思います。
なので僕が言いたいのは、是非そういうのをやってみてくださいっていうことですね。実行してみて初めて、合ってるか間違ってるか分かることもあるので。
ーーその通りですね。今日は貴重な時間をいただきありがとうございました
ありがとうございました。
インタビュー日 2023/9/9
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