【生徒インタビュー】 「マイクラの外に出たいよな」未踏ジュニアスーパークリエータ認定 野田蒼馬さんインタビュー

マイクラの外に出る

ーー プログラミングとの出会いについて教えてください

野田さん:プログラミングとの出会いはマインクラフトです。
スプラトゥーンあるじゃないですか。

親にSwitchを買ってもらえなかったので、「マイクラで自分で作るか」って、似たようなゲームを作ったりしてて。
作品を作っていくうちに、マイクラの外に出たいよな、と思って。

ーー マイクラの外に出ようと思った時、次の選択肢ってどうやって見つけたんですか?

野田さん:どうやって情報入ってきたんですかね。
でも自然とUnityっちゅうもんがあって、それはやれそう、ってなった感じです。

小学5~6年の時に別のプログラミング教室でC言語をやってたんですけど、教科書に沿ってやっていたんですけど、何だろう、あんまり身につかなくて。教室を変えました。

ーー で、N Code LaboではUnityを選んだ?

野田さん:PythonとUnityを選べるじゃないですか。
元々スクリプト型の言語が、なんか嫌だなと思ってて。

「グラフィカルに操作できるUnity」って楽しいんじゃね?って、触ったことないからやってみよう、で始めたのがUnityでした。

でも結局Unityは……GUIで「このボタン押して、次にこれ入れて」みたいなのを覚えるのが嫌で、めちゃめちゃめんどくさいんですよ。

テキストなら「このクラスのこのメソッドにこれ入れる」って全部書けるし、「あれどこだっけ」が減るのが好きで。
だからUnityは結局、あんま触れなかったです。

ドット絵アプリを自作する



ーー 画像をドット絵に変換するアプリを作ったこともありましたね

野田さん:ネットで「絵 変換」で出てきたのを使うと、精度微妙やなって。
「こんなんなら自分でも作れそう」って思ったのが始まりです。

既存のはモザイクかけるだけ、みたいなのが多くて。
ドット絵って8色とか16色とかに絞るじゃないですか。

最初に画像の色を8色/16色に絞って、そのフィルターをかけたら、もっとドット絵っぽくなるんじゃね?って。

ーー 仕様はどうやって決めたんですか?

野田さん:割と突然ひらめくんですよ。
「こうしたらもっと良くなるんじゃね?」って。

色変換はLab色空間(※1)を使ってるんですけど、2年前ぐらいに先生が「こっちの方が多分いい」って教えてくれて、やったらめちゃめちゃ良くなったりとか。突然思いつくことが多いです。

ーー ひらめきが生まれる瞬間ってどうですか

野田さん:作ってるときに浮かんできます。
フィルターの関数を書いてると、繋がってるやつがなんとなく見えて、「こう書いた方が最適化できるんじゃ」って。

インプットされた瞬間に「あれ、これって」って出てくる感じです。

ーー Pythonで作っていたアプリを途中でRustに書き換えましたね

野田さん:ありえないほど遅いんですよ、Python。
画素変換が遅くて、色を絞るフィルターが重い。

Cにもしたけど、自分の書き方が良くなくて無理で。

昔「Rust勉強しよう」って言われてたのもあって、速いって話題だし、GitHubでも流行ってたし、「とりあえずRust書くか」って。

Pythonだったら、リスト型を持つ時にメモリを動的に確保するんですけど、Rustだったら最初に「ここからここまでのメモリ領域を持ちますよ」って宣言できて。
そこで余計な確保とかが減るので、めちゃめちゃ速くなったっていう。

ヒープとスタック(※2)の話ですね。

(※1)Lab色空間
色を、人の知覚に近いかたちで表現するための色空間。L*は明度、a*は緑–赤、b*は青–黄の軸を持つ。RGBが表示や合成に向いた表現なのに対し、Labは色同士の差分を距離として比較しやすいため、近い色への集約や代表色の抽出、量子化などで使いやすいのが特徴です。単純なRGB距離よりも、人間の見た目に近い基準で色を扱いやすい場面がある。

(※2)ヒープ/スタック
メモリの置き場所と管理方式の違いに関する話。スタックは関数呼び出しに紐づく一時領域で、確保・解放が非常に高速である。ヒープはより柔軟に使える一方、動的確保や参照管理のコストがかかる。Pythonはオブジェクトをヒープ中心で扱い、実行時の型情報や参照カウントも伴うため、画素単位のような大量反復処理では不利になりやすい。Rustはデータ配置や所有権を明示しやすく、不要な確保を減らしながら低オーバーヘッドで処理を書けるため、高速化しやすい特徴がある。

技術を追う日常

ーー いろんな技術を追ってますよね。どういう日常だと追えるんですか?

野田さん:技術に対しての関心がすごいあって、それがベースです。
「この技術ってめっちゃ面白いよね」っていうのをドリブンで生活していて。

Xだったり、友達からだったりで、面白い技術を語ってもらったり、自分でも調べたりとか。

最近だと分散システムにハマってるんですけど、たとえばMisskeyみたいなやつって、国とかが検閲しようとしても、理論的にはできるけど、現実的には検閲できなかったりするんですけど。そういうロマンがあって。

あと、分散システムって基盤があるから、その上に想定されてない用途のものを作ってみよう、みたいな気持ちになるんですよね。

ーー 技術の話ができる友達は、どうやってできたんですか?

野田さん:N中等部に入った時にフォートナイト同好会に入って。

その中にたまたまプログラミングが得意な人がいて、それが今未踏ジュニアを一緒にやってる人なんですけど。

そこから広がっていったりとか、ですかね。

でも、プログラミング周りが話せる友達が増えたのは割と最近ですね。

未踏ジュニアの挑戦

ーー 未踏ジュニアに応募した経緯は?

野田さん:彼が「未踏ジュニアを応募したいんだよね」って言っていて、「だったら一緒にやろうぜ」って言った、割と口の約束でしたね。

一緒にものを作ったり技術トークしてる仲で、3日ぐらいの短期で何か作る、みたいなのはよくあって。
大体オープンソースで、自分がプルリクエストを上げたりとか、そういう風にやってました。

ーー 未踏ジュニアでは当初の構想から変わっていきましたね

野田さん:最初はMR(※3)で部屋にキャラを召喚して、一緒に生活できたら楽しいよね、みたいな。

でもすぐ課題にぶつかって。
「人と生活する」って相手を気に入らないとストレスになるんですよ。

好きなキャラを表現するのも難しくて、現実世界に呼びだすと「人間ができるのにキャラができない」というのはかなりの違和感が発生するんですね。

アニメーションも、手を振るみたいな動き一つでも難しくて、先行研究やリソースの課題があって。

だったらマインクラフトみたいに、自由に作れる基盤を作った方がいいんじゃないかってなって。
「MRで人と生活する」じゃなくて、実現する基盤をテーマにした。

できたのがAI-KYOっていう全然違うものです。

https://jr.mitou.org/projects/2025/aikyo

AI-KYOの上で最初に作りたかったものも作れるし、メンターが踊るみたいな変なこともできるし。
いろんなフロントエンドで使える、みたいなものになりました。

(※3)MR:現実にCGを重ねる技術。

ーー メンターは具体的にどう関わっていくんですか?

野田さん:進捗管理はしてくれて、二人で「こっちが良くない?」ってなった時に、状況整理とかヒントを手伝ってくれるのは大きかったです。
「これでいいんですかね」みたいな相談もできました。

ーー 共同作業で迷うのはどこなんでしょう?

野田さん:基礎設計ですね。
AI-KYOはLLMの出力を構造化して全部表現しよう、みたいなアプローチで、そこは悩んで。

一人一人で「こっちがいい」って分岐して作って、いいところを取って中和する、って結論になって。
一回それで作ろうってやってました。

ーー いよいよ成果報告会ですね

野田さん:一旦一区切りで、成果報告会やここ一年の結果を見て、11月後半にスーパークリエイタの認定が出るはずです。

編集部注:野田さんは未踏ジュニアのスーパークリエイタに選ばれました。
https://nnn.ed.jp/news/gjlyvtp54lv/

「プログラミング自体がめっちゃ好き」

ーー 振り返ると、いろいろ作ってきましたよね。野田さんをドライブするものって何だと思いますか?

野田さん:ドライブするもの、ちょっと考えてきたんですけど、なかなか難しくて。

ーー じゃあ、喜怒哀楽で言うとどれですか?

野田さん:喜怒哀楽…わかんないんですけど、嬉しい。
「嬉しい」っていうか「楽しい」か。「楽しい」「嬉しい」みたいな感じで。

プログラミング自体がめっちゃ好きで、自分のコードが知らない場所で他人のPCで動いてる、ってめっちゃ楽しい。
だから、たくさん書いてたくさん公開するのは一つのドライブです。

あと新しい技術をキャッチアップするのが好きで。
AIとかLLMのプロダクトも増えてきたけど、まだ先があると思ってて。

1~2年前は「AIエージェント」って言葉あんま聞かなかったのに、Auto-GPTとかClaudeあたりから、みんな言い出したじゃないですか。
そういう先進的な技術を探して、考えて、作るのが楽しいですね。

ーー 日常的に情報を集めたり、友達から聞いたりして考えてる感じですか?

野田さん:そうです。
「これでこういう風にやったら面白くない?」みたいなのはメモして、友達と議論したりもするので、それも楽しいかなって感じです。

ーー 不便より好奇心?

野田さん:最初は不便からだったけど、より良くするにはどうするか、って考察するのが楽しくて。
必要な技術は何だろう、どう高速化する、そもそもなんで遅い、って考えるのもめちゃめちゃ楽しいです。

メンターは教える人じゃない

ーー 今の野田さんにとって、指導者/メンターってどういう存在ですか?

野田さん:まず技術を教えてくれる人ではなくて。
技術とかそういう話は自分でできるので、未踏ジュニアでもN Code Laboでも一緒です。

自分が求めているのは、アイデアとか考えたことに対して議論してくれることが大事で。
言葉にして人と議論すると、自分のアイディアが深まっていくし、議論するのも楽しい。

ま、独り言が多いんですけど、そういう独り言をキャッチアップして、
「それだったらこう思う」「こういう風だといいんじゃない?」とか、
「こういう風だともっと面白いんじゃない?」とか、
一緒に考えてくれる人だといいなって思っていますし、今はそうしてくれています。

ーー それはまだ人間の方がいいんですか?

野田さん:割と今半々でやっていて。
人間でやった方が飛び抜けたアイディアが出てくるんですよ。AIとかLLMだと平坦なアイデアが多い。

LLMに話す時は、単純に褒めて欲しい時と、とりあえず言語化したい時。
人間に話す時は、もっとちゃんと考えを言語化して、飛び抜けたアイデアが欲しい時とか、めちゃめちゃ話を深めたい時ですね。
浅いやつはLLMにお願いしています。

ーー 議論相手は指導者がいい?同年代がいい?

野田さん:それは全く気にしていなくて。
お互いに同じ目線で話せた方がいいかなと思っていて、相手が何歳とか何をしている人とかで、できるだけ目線を変えないようにしていて。
失礼で怒られることもありますけど。

ーー 相手のステータスは意識しない?

野田さん:敬語って何の意味があるのかなと思っていて。
年功序列とか、先輩後輩っていう関係も何の意味があるのかなってずっと思っていて。

結局、上の人は気分がいいかもしれないけど、下の人は相談しにくい・話しにくい環境になると思ってるので。
上の人も、後輩がめちゃめちゃ敬語で話してきたら話しにくいじゃないですか。自分はそうなので。
昔考えていたので、そこから得たものって言えます。

ーー フラットな感じを大事にするっていう意味では、N中・N高は叶いやすい環境ですか?

野田さん:かなり叶いやすいと思っています。
公立の学校で先生にタメ口で話したらめっちゃ怒られるじゃないですか。

でもN中・N高はかなりフラットで、メンターもフラットに話してくれるし、先輩後輩って区分なく話していると思っていて。

N中のネットコースなんかは「一年生はこのクラス」じゃなくて、N中に来て何年目、みたいな分け方なので、三年生と一年生が一緒に受ける環境もある。
そういう風に年齢の部分をできるだけ最小化していて、かなりいい環境だと思っています。

数学をプログラミングで実装しながら学ぶ

ーー 進学とか就職とかはどういう風に考えているんですか?

野田さん:就職だったり学業は、あんまり考えられていないんですけど。
就職は割と何とかなると思っていて、スカウトで声をかけてくれる人がいたりするので、それは何とかなるかなと。

学校に関しては割とやばくて。
プログラミングに全振りしてしまったので、数学ができなかったり、国語が終わってたりするので、その辺は勉強しないと多分大学でやっていけない。
ま、やばいなとは思っているんですけど。はい。

ーー そのスカウトって、作品を公開したり、ハッカソンに出たりしてると、自然に声がかかる感じですか?

野田さん:例えば、退職した職場なんですけど、ハッカソンにめっちゃ参加していた時期に毎回同じ人がいて、
その人と仲良く喋っていたら、たまたま社長で「うちの会社来ない?」って誘ってもらって、ついて行ったりとか。
最近も未踏の周りで声かけていただいたりとか、ありましたね。

ーー そういうのも念頭に置いて、戦略的にハッカソンとかも参加している?

野田さん:そうですね。
できるだけ自分のことを知って欲しいので、スピーチができる場があれば、できるだけ応募する、みたいに心がけていますね。

ーー 進学は「やばいかも」だけど、どういう学びの場なら行ってもいい?

野田さん:大学で何をするのか知らないんですけど、完全に勉強、みたいな感じは自分はあんまり向かないかなと思っていて。
一緒に起業する人を探せる場とか、一緒に何かプロジェクトを立てる場みたいな、そういうことができるといいかなと思っています。

ーー 生徒インタビューで全員に聞いているんですが、勉強は好きですか?

野田さん:英語は割と好きで、去年の最後の方にめっちゃ頑張って、英検三級までは取ったんですけど。
数学とか国語は全然やる気がなくて、やれていなくて。

ちょうど今日のN Code Laboの授業から、成果報告会で別のことをやろうと思って。
担当の先生が数学得意なので、数学をプログラミングで実装しながら教えてくれたら分かりやすいし、N Code Laboでしかできない授業じゃないかなと思って、
そういう変わった数学の勉強をこれからしようかなと思っています。

ーー 今日はありがとうございました。

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