【生徒インタビュー】好きなものを見つけること。「未踏ジュニア」「SecHack」同時採択された安田陽真さんインタビュー
N中等部でプログラミングと出会い、N Code Laboで学び「未踏ジュニア」「SecHack 365」というふたつの育成プログラムに同時採択された安田陽真さん。
好奇心を原動力に、アイデアを形にしながら成長した軌跡を伺いました。
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未踏ジュニア 採択プロジェクト
プログラミングとの出会い
ーー まず、プログラミングに触れたきっかけを教えてください
安田さん: だいたい中学校1年生ぐらいの時です。
きっかけはN中等部の授業でウェブ系の授業があり、そこで簡単な基本的なものを見て「面白そうだな」と思って色々触ってみた、という感じです。
最初は本当にちっちゃいウェブサイトとかウェブツールみたいなものを作ったりしていました。
「ChromeのトップでVTuberの配信予定が見れたら便利だな」と思って、配信予定のサイトをiframeで埋め込んでみたりとか。他には、ブルースクリーンを再現した変なサイトとか。
それから、ZEN Study(※角川ドワンゴ学園の動画教材)のプログラミング教材をやっていた時もありましたし。HLS(※HTTP Live Streamingの略、Apple社が開発したストリーミング配信のための規格)というプロトコルで音楽をストリーミングしてみるサイトを作ったりもしました。
N Code Laboに入会して

ーー N Code Laboにはいつから通い始めましたか?
安田さん: 中2の時だったと思います。最初はUnityのコースを選びました。
Unityは小学校の時にほんのちょっとだけ触ってたぐらいの認識だったので、Unityをちょっと勉強しつつ、それが半年ぐらいですかね。
それ以降はもう自分の好きなものをやらせてもらったというか。
1年ぐらい通った後は、もうUnityとは関係ないような、普通のウェブサービスみたいなのを、先生と共同作業のような感じで、一緒に調べながら作っていくみたいなことをやっていて、それはとてもいい経験だったなと感じています。
ーー どんなものが完成しましたか?
安田さん: 完成したものは2つですね。
まずは、ユーザーの表情を読み取り、その感情を検出して、画像(※笑った顔、悲しい顔など表情のイラスト)などを切り替えて表示する、というWebサービスです。
これに付随して、録音した音声を文字起こしして、そのテキストから感情分析を行って、結果に合わせて画像を切り替える機能も作りました。
それとは別に、3Dモデルを使ったツールです。
Webカメラでユーザーの姿勢を検出し、その動きを3Dモデルに反映させます。
さらに、遠隔地にいる人たち同士が、それぞれの3Dモデルを同じWeb画面上に並べて一緒に動ける、というようなツールも作りました。
最近になると、分散型SNS関連のウェブサービスとかを作ったりしていました。
ーー かなり幅広く取り組まれていたんですね。そういったトピックは、どのように知るんですか?
安田さん: 感情分析のやつは「璃奈ちゃんボード」(※アニメ『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』)っていうアニメに出てくるアイテムがあって、その再現として作っていたのが始まりです。
3Dモデルで言うと、VTuberが好きだったので、VTuberがやってる3Dコラボを専用の機材なしで作れる方法ないかなと調べて、ウェブカメラからのモーションキャプチャみたいなものを見つけて作ったりしました。
分散型SNSは、もともとMisskey(ミスキー)とか分散型SNSを使っていて、その中で面白い分散型SNSプロトコルがあるというのを知って、「じゃあこのプロトコルで何か作れないかな」と思って作ったのがきっかけだったりします。
コンテストへの挑戦
ここから「ゲームメーカーズ スクランブル」や「NED」、「Joyo High school テックコンテスト」など、様々なコンテストや大会に挑戦していきます。
ーー 「ゲームメーカーズ スクランブル」では、初めて外部からのフィードバックを得たそうですね。
安田さん: これは、N高のブースで、来場者にアプリケーションを使ってもらい感想をもらうイベントでした。
お誘いが本番の1ヶ月前で、すごいギリギリで準備した記憶があります。
今も未踏ジュニアでやっているテーマなんですが、MR技術(※Mixed Reality(ミックスド・リアリティ)の略称、現実世界と仮想世界を融合させる)を使ってバーチャルキャラクターと現実世界で会話できるアプリケーションを出しました。
当日はいろいろフィードバックをもらい、「操作性があんまり良くない」とか、あとは単に「話す内容が思いつかない」という方もいて。
やっぱりそういうところは、向こうから話しかけてくれたりしたらいいのかな、という気づきはありました。ちゃんとしたイベントで実際にフィードバックをもらうのは、これが初めてでしたね。
ーー 「NED」(※角川ドワンゴ学園のプレゼン大会)では、プレゼンに挑戦されています。
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安田さん: そもそも人前で発表したことがなかったので、「ちょっとできるのかな」と躊躇していましたが、もうこの際だからやってみようと。
NEDでは主に分散型SNSプロトコルの話と、「そういう新しめの技術を触ってみるのは面白いよね」という話をしました。
スライドも、最初は分散型SNSの具体的な話をしていたんですが、登壇者向けのワークショップで「抽象的な広い話をした方が刺さりやすい」みたいなフィードバックをもらい、1ヶ月ぐらいかけて改善しました。
練習もフィードバック会や本番の前に何回かやりました。結果、テーマに興味を持ってもらえて、自分も発表できるな、と自信がついた感じはありました。
ーー 「Joyo High school テックコンテスト」では、共同開発と”見せ方”を学んだそうですね。
安田さん: 事業内のハッカソンで、初めて2、3人での共同作業を経験しました。タスクの共有もですが、Gitのブランチを分けるとか、プルリクエストの書き方とか、個人開発じゃやらないことを学べました。
コンテストでは、遠隔地でキャラクターをモーションキャプチャできるツールを個人で出して「テック特別賞」をもらいました。
ただ、技術力だけでなく、コンテスト主催者が何を求めているかを想像して制作すれば、最優秀賞も取れたんじゃないかな、みたいに思いましたね。
「未踏ジュニア」と「SecHack 365」へ
ーー そして、未踏ジュニアとSecHack 365への応募ですね。まず未踏ジュニアへの応募の経緯を教えてください。
安田さん: どちらも名前は知っていましたが躊躇していました。でも、NEDとかJoyoとかも出してたんで、そろそろいけるんじゃないかなと思って。あと素直な気持ちを言うと、大学受験のための実績を作らないとやばいなというのも兼ねて、今年出してみようと。
それまで半年ぐらいやっていた、MRでバーチャルキャラクターと会話するアプリケーションを、N中等部の時からの友達と一緒に出しました。
ーー 未踏の選考はどんな形で進められるんですか?
安田さん: まず提案書を書いて、プロジェクトの概要や自己PRなどを提出するのが第1次審査です。第2次審査では、提案書の内容をもとに5分のプレゼンをして、メンターの方からフィードバックをもらいます。それを経て2次審査を通過すると採択、という感じです。
ーー かなり倍率が高いと聞きますが、手応えはありましたか?
安田さん: そんなになかったです。1次審査の時とかは「え、通ったの?」みたいな感じでした。面接(ミーティング)で教えてもらったのは、やはり「物ができてた」というのが結構大きくて。1次審査から2次審査の間で、アプリ自体が進化していたのが大きかった、というふうに教えてもらいました。
これからブースト合宿というイベントがあって、そこでフィードバックをもらいつつ、毎週のミーティングでやることを決めつつ開発していって、最終的に11月の成果発表会に向けて作っていく感じです。
ーー SecHack 365の応募のきっかけは?
安田さん: SecHackは、「セキュリティ芸人」の動画で知りました。これも躊躇してたんですが、「未踏も出すし、もう一緒に応募しちゃえ」と。どっちか通ったらいいな、という感じでした。クラウドとか分散システム系に詳しいトレーナーがいる「開発駆動」コースを選びました。
成果物が無くてもいいと聞きますが、あった方が好印象だと思ったんで、未踏の1次が終わった頃に作り始めて。資料に今までの実績とかをバーっと書いて、勢いで応募した感じです。SecHackは書類だけなんで、1ヶ月ぐらいしたら合格って来て、びっくりしました。
ーー 新しい人との出会いも増えますが、人付き合いは得意ですか?
安田さん: 全然得意ではないのでいつも苦労しているんですけど、SecHackとか未踏ジュニアは技術的な興味を持っている人たちが多いので、そこら辺で共通の技術とか話ができれば仲良くなれるんじゃないかなと思っています。
プログラミングで得られたもの
ーー プログラミングを学んだことで得られたもの、一言で言うと?
安田さん: 自分の頭の中にぼんやりあるものを形にしていく、という経験ができたんじゃないかなと思っています。
ーー 将来の目標などがあれば教えてください。
安田さん: ネットワークとかセキュリティの分野に興味があるので、そのあたりの分野でエンジニアとして働けたらいいなと思っています。
ーー ちなみに、いわゆる学校の勉強(国数英理社など)は好きなタイプですか?
安田さん: めちゃくちゃ嫌いでしたね。
ーー ありがとうございます(笑)。では、プレゼンを一生懸命準備したり、物を完成させたり、新しい技術を吸収したりする、その情熱はどこから来るんですか?
安田さん: 全部自分がやりたくてやっていたことだったので、そんなに苦しくなくできたのかなと思っています。
やはり勉強は、やりたかろうがやりたく無かろうが、やらないといけない。ただプログラミングは基本的に自分がやりたくてやっていただけなので、そこで違いがあったのかなと思います。
ーー 情報収集はどのように?
安田さん: がっつりキャッチアップしようと思ってるわけではなく、なんとなくSNSでふらっと流れてくるものとか、知り合いが呟いてたとか、たまたまQiitaのトップに流れてきたとか、そんな感じで見つけることが多いですね。
これからプログラミングを始める人へ
ーー 最後に、これからプログラミングを始めようとしている人にアドバイスをお願いします。
安田さん: やはり自分の好きな技術とか分野みたいなのを見つけると面白くなると思うので、色々、技術記事とかでもいいので適当に見てみて、「この分野は面白そうだな」というのでちょっとものを作ってみるとかすると、だいぶ広がるんじゃないかと思います。
ーー 今日は非常に興味深いお話をありがとうございました。未踏とSecHackでのご活躍も楽しみにしています。
安田さん: ありがとうございました。
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